近年、よく目や耳にするものにHACCPがあります。これは2020年6月に施行された衛生管理の手法のことです。「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」の単語の頭文字をとって、HACCPとしています。この5つの単語は前2つと後ろ3つに分かれ、前2つを合わせて「危害分析」、後3つを合わせて「重要管理点」を表します。
具体的には、「危害分析」は食品の原料の仕入れから出荷までの間において、異物・微生物の混入などの危険要因を特定したり管理することです。「重要管理点」は食品の製造ラインで安全性を確保するために、特に管理すべきポイントのことを意味しています。つまりHACCPは食品を製造するにあたり、その工程中に危害を起こす要因をまず分析します。そしてそれを効率よく管理できるポイントを連続的にチェックすることによって、安全性を確保していこうとする管理手法です。
HACCPというのは、食品の安全を高いレベルで守るために採用されている工程管理システムといえます。原料からグローバルな規模で流通している現代では、食品のリスク管理は難しくなっています。そのため危険な物質の混入に対して、大事なポイントとなる作業過程を「分析」「管理」するのが有効という手法です。日本では2020年の施行となっていますが、HACCPはすでに国際的にも推奨されています。
WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)が運営する食品規格委員会によって発表され、その由来は1960年代のアメリカのアポロ計画にあるとされています。